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のがしたボール


春です。あたたかになって、てんとう虫もうちのなかに迷い込んできました。

今日の帰りの電車のなかの、若い母子の会話。

4〜5才くらいの男の子が風邪なのか、咳き込んだり鼻をグスグズさせていた。お母さんが、

「帰ったら、鼻に蒸しタオルするといいよー」

「いーいー。鼻かむだけで、だいじょーぶー」

「おかあさんも、よくそうするよ?」

そんな、ありふれた親子の会話。私たち親子もたしか、よくやってたやつ。

ふたりの語調はおっとりしていてとても心地よい。親子のいい関係が垣間見えるような。

何秒かして、その子は、

「ひとがそうするからって、すぐそうしちゃダメなんだよー」

くーー!

かわいい声で諭してきやがる〜。

たまらーん!

この子はかつてまわりのひとから、教わった生き方を身につけて、いま、ここで応用しているんだ!

お母さんは、仕事している人のような雰囲気で、ケータイを操作しはじめながら、

「⚪︎⚪︎ちゃん、それ、なんかよくわからないよぉ」と、やはりゆったり応えていて。

ああ、そうなの。

私もそうして、いくつも逃してきた。母ってそうなの。

私は私の逃したいくつもの瞬間を、いまさらのように手繰り寄せるんだ。見知らぬ親子の会話によって。


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